1978 年 75 巻 11 号 p. 1695-1706
胃潰瘍, 十二指腸潰瘍, びらん性胃炎, 萎縮性胃炎, 正常人を対象として試験食刺激による血中ガストリン放出反応を測定し, 胃酸分泌能, 胃排出機能との関連性を含めて比較検討した. ガストリン放出反応は,びらん性胃炎と萎縮性胃炎では正常人より高値を示し, 十二指腸潰瘍と胃潰瘍では平均的に低値を示した. しかし, いずれも分散が大きく, 同一疾患でもいくつかの group に分けられることがわかり, 各疾患の病態の複雑さが示唆された. たとえば萎縮性胃炎では空腹時血中ガストリン値により大きく2群に分けられ, 十二指腸潰瘍では, びらん性胃炎合併例が非合併例より高値を示した. 酸分泌能, 胃排出機能との関連性では全体には有意な相関はなかつた.