日本消化器病学会雑誌
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肝内門脈枝の異常を伴つた原発性胆汁性肝硬変の1例
中沼 安二新谷 寿久太田 五六熊谷 幹夫
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1978 年 75 巻 3 号 p. 374-380

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抄録

肝内門脈枝の異常を認めた原発性胆汁性肝硬変の1例 (64歳, 女性) を報告した. 初発症状 (黄疸と皮膚掻痒感) 発症後6カ月で, 食道と胃噴門部に軽度の静脈瘤を認め, 初発症状発症後2年半で門脈圧亢進に由来する大量の消化管出血のため死亡した. 外科的生検肝 (初期) と剖検肝 (中期) の肝内門脈枝には, 内腔の狭小化, 膠原線維•弾力線維の増加それに平滑筋の増生による門脈壁の肥厚が認められた. そしてこれらの肝内門脈病変が, 本例に出現した門脈圧亢進と何等かの関連性を有するものと考えられた.

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