日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胃癌とその発生母地に関する酵素化学的研究
第1報 アルカリフォスファターゼアイソエンザイムについて
小田原 満西村 秀男中村 克衛河村 奨早川 幹夫浜田 義之渡辺 正俊野田 健一福本 陽平河原 清博竹本 忠良
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1978 年 75 巻 4 号 p. 450-456

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抄録

胃癌の発生機構の研究や臨床応用を目的として, 胃癌, 腺腫性ポリープ, 異型上皮, 腸上皮化生, 正常粘膜の各組織および胃癌患者血清をもちい, アルカリフォスファターゼ(ALP)アイソエンザイムについて検討した. 組織は生検および手術材料をもちい, Morton の方法によりALPを抽出し, 5%ポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動法および65°Cの耐熱性でアイソエンザイムをしらべた. その結果, 胃癌組織20例中6例(30%), 胃癌血清63例中3例(4.7%), 腸上皮化生28中1例(3.5%)に耐熱性ALPがみられた. 腸上皮化生の1例に耐熱性ALPをみとめたことは, 発癌との関連を考えるうえで重要な症例と考えられた. なお, 今回の検討では, 腺腫性ポリープ, 異型上皮, 正常粘膜には耐熱性ALPはみられなかつた.

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