日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
アミノ酸代謝異常と肝性脳症
分枝鎖アミノ酸輸液の栄養代謝的意義
渡辺 明治東 俊宏武居 篤史長島 秀夫
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1978 年 75 巻 4 号 p. 466-480

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抄録

肝硬変, 劇症肝炎および亜急性肝炎など重症肝疾患例では, 血清アミノ酸パターンの著るしい異常と蛋白栄養障害を伴うことが多い. 現在市販されている総合L-アミノ酸製剤を肝硬変例にブドウ糖と共に輸液すると, 血清アミノグラムの不均衡を一層助長し, 肝性脳症を誘発する可能性がある. 分枝鎖アミノ酸を中心とした特異なアミノ酸輸液製剤 (Hep-OU) を試作し, 肝疾患例に輸液し, 血清アミノグラムの変化を解析し, Fischer らの肝不全用アミノ酸製剤 (Fischer 液) との比較をおこなつた. 肝硬変や亜急性肝炎など重症肝疾患例へのHep-OUの輸液は, 血清 Methionine, Phenylalanine および Tyrosine 濃度の著るしい減少と (Valine+Leucine+Isoleucine)/(Phenylalanine+Tyrosine) のモル濃度比率の増加を生じ, 肝性昏睡の覚醒や Fischer 液と同様脳波所見の改善をもたらした.

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