1978 年 75 巻 4 号 p. 530-537
昭和45年1月から51年12月までの7年間に北陸地域 (富山, 石川, 福井県) で治験された膵石症を集計し検討を行つた. 膵石症は男25例, 女6例で, 平均年齢は男45.9歳, 女49.5歳である. 病悩期間は64.5%は3年以内で, 可成り短期間で膵石が形成されることが推定された. 疼痛は93.5%に見られたが, 6.5%は全く疼痛を認めなかつた. 成因は明らかにアルコールによるもの35.5%, アルコールの疑い12.9%, 胆道疾患9.7%, 急性膵炎3.2%, 原因不明38.7%である. 症例の84%に外分泌機能低下, 71.4%に内分泌機能低下をみた. 結石の広汎分布型ほど内外分泌機能異常が著しいが, 結石の限局型の4例は外分泌機能正常を示しており, 膵石症は必ずしも慢性膵炎の末期の病態とはいい難かつた.