1978 年 75 巻 6 号 p. 826-837
肝の線維形成に関与する細胞を明らかにする目的で劇症肝炎, 慢性肝炎, 肝硬変と実験的障害肝および実験的ビタミンA過剰症のラットを作成し, 電顕的に観察し次の結論をえた. 脂肪摂取細胞の一部のものは粗面小胞体がよく発達し, 線維芽細胞に類似した形態を示し, 小葉内線維形成に関与していた. 増殖胆管周囲の線維形成には線維芽細胞が関与しているが, 劇症肝炎の広範壊死部の線維形成には線維芽細胞とともに脂肪摂取細胞も関与していた. ビタミンA過剰症では脂肪摂取細胞は増加するが線維の増生はなかった. このことより脂肪摂取細胞のビタミンA貯蔵機能と線維形成作用は直接関連性をもたないものと思われた.