膵外分泌反応の部位的不均等性の有無を解明するために, イヌ膵を用いて以下の実験を行なつた. 主膵管の十二指腸開口部 (右葉) と膵角部 (左葉) の2か所に外瘻を作成し, 種々の量のセクレチン持続投与下で, 膵液を同時に分別採取した. 単位湿重量あたりの左葉からの膵液量および電解質分泌量は, すべてのセクレチン投与量で右葉より大であつた. 膵液中電解質濃度およびアミラーゼ分泌に関しては, 左右両葉間に有意の差を認めなかつた. 左葉優位の分泌反応の原因は未だ不明であるが, 現時点では膵実質内血流量の差に基づくセクレチン作用量の差に起因すると推定される.