日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
血清ならびに消化管粘膜 gastrin に関する実験的研究
(1) 胎生期および成長過程に伴う変化について
角本 芳隆矢花 剛
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1978 年 75 巻 8 号 p. 1147-1159

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抄録

ラットの発育•生長に伴う上部消化管粘膜内 immunoreactive gastrin (IRG) およびG細胞分布ならびに血清 gastrin (G) を調べ, 以下の成績を得た.
(1) 血清G値は生後1週目で測定可能濃度に達し, 生後2週目で一過性に増加した. (2) 幽門前庭部IRGおよびG細胞数は哺乳ならびに離乳•摂食開始期で著明に増加した. (3) 十二指腸•空腸IRGも生後2週目で一過性に増加した. (4) 幽門前庭部IRGは終始 little G (LG) であるが, 十二指腸•空腸では胎生期でLGが主体で, 発育•成長に伴い big G (BG) が増加してその主体を占めた. G代謝に関連して幽門前庭部ならびに十二指腸•空腸に分布するGの存在意義を明らかにし, 食餌摂取がG産生•放出面で重要な役割を演ずるものと推論して若干の考察を行つた.

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