日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
腸内細菌による実験的慢性膵傷害
藤井 信一郎
著者情報
ジャーナル フリー

1978 年 75 巻 8 号 p. 1278-1289

詳細
抄録

大腸菌O: 14の加熱死菌を Freund's incomplete adjuvant (以下FIA) と混じ, イヌ膵内に分注することにより"Adjuvant 膵炎"類似の慢性膵傷害を作製できた. 大腸菌単独投与群では, 膵組織はほぼ正常に復するが, FIAと大腸菌を等量に混ぜ合わせ投与した群では, 菌体数を増量させることにより, 慢性膵傷害の程度•発生頻度を増加させることができる. 後者においては, 分注7週後にも蛍光抗体法により, 組織内に細菌抗原の存在を証明できる. 経過をおい観察すると流血中に抗膵抗体を証明でき, その抗原部分は膵 microsome分画と考えられる. 細菌成分の直接作用による炎症の発生, および膵内での長期にわたる存在が慢性膵傷害を成立せしめたと考える.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top