果糖 (d-fructose) 投与によるATP欠乏ラット肝について肝の排泄機能を調べ, 外因性ATPのこれに対する影響を調べた. 外因性ATP (腹腔, 経口投与) は肝ATPを増加せしめた. 果糖腹腔内投与は肝ATPを著減せしめ, 外因性ATPはこの減少を防止した. 果糖投与は胆汁量, 胆汁内色素排泄の減少をもたらした. このさい, 外因性ATPはBSP排泄減少を防止したが, ICG排泄減少には明らかな防止作用がえられなかつた. 以上の成績からATPは肝の排泄機構に必須のものであり, かつ, 腹腔内投与には劣るが, 経口投与されたATPも肝に集積され, 胆汁内への色素排泄機序に関与することを結論した.