切除例を中心に胆管癌24例について, 主病巣から連続し粘膜上皮層に限局したほぼ一層の癌を粘膜癌とし, その胆管縦軸方向への広がりを検討した. その結果, 主病巣から連続した上皮層外胆管壁内における同方向への癌の浸潤範囲に比してより広範な粘膜癌の広がりを伴う症例が5例21%と高頻度に認められ, 両者間の最大差は26.2mmであつた. また. これらの症例の中には主病巣の深達度が胆管壁障限局した比較的早期の癌も含まれていた.
以上の知見は, 外科的切除に際しての断端粘膜内における腫瘍細胞の遺残さらに再発の問題とも関連し, 臨床的に重大な意義をもつものと考えられる.