1979 年 76 巻 10 号 p. 1955-1959
各種肝疾患での肝組織および血清中のリガンディン濃度とZ蛋白濃度をラジオイムノアッセイ法で測定し,比較を試みた.正常例での肝内濃度はほぼ同じであるが,血清ではリガディンにくらべZ蛋白が約8倍の高濃度で存在した.各種肝疾患での血清リガンディン値,Z蛋白値の測定では,リガンディン値はほぼ全例で上昇がみられたが,Z蛋白値は特に慢性肝炎,肝硬変症で低下を示す症例がかなり認められた.両蛋白の血清値の相関係数は,急性肝炎0.35,慢性肝炎0.19,肝硬変症0.56で,肝硬変症でのみ有意の相関が認められた.体質性黄疸ではリガンディン値は正常ないし軽度上昇を,Z蛋白値は全例で低下を認みた.各種肝疾患での肝組織内濃度は正常にくらべ,いずれも低下していたが,肝硬変症,慢性肝炎では比較的ばらつきが多く,急性肝炎,体質性黄疸では一定して低値を示した.