日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
各種肝疾患における肝内色素輸送蛋白の臨床的研究
リガンディンとZ蛋白の比較
神坂 和明都留 正展平野 正憲稲垣 徹岡野 健一寺野 彰松本 和則加藤 善久本木 達也上井 一男村尾 覚八辻 行信
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1979 年 76 巻 10 号 p. 1955-1959

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抄録

各種肝疾患での肝組織および血清中のリガンディン濃度とZ蛋白濃度をラジオイムノアッセイ法で測定し,比較を試みた.正常例での肝内濃度はほぼ同じであるが,血清ではリガディンにくらべZ蛋白が約8倍の高濃度で存在した.各種肝疾患での血清リガンディン値,Z蛋白値の測定では,リガンディン値はほぼ全例で上昇がみられたが,Z蛋白値は特に慢性肝炎,肝硬変症で低下を示す症例がかなり認められた.両蛋白の血清値の相関係数は,急性肝炎0.35,慢性肝炎0.19,肝硬変症0.56で,肝硬変症でのみ有意の相関が認められた.体質性黄疸ではリガンディン値は正常ないし軽度上昇を,Z蛋白値は全例で低下を認みた.各種肝疾患での肝組織内濃度は正常にくらべ,いずれも低下していたが,肝硬変症,慢性肝炎では比較的ばらつきが多く,急性肝炎,体質性黄疸では一定して低値を示した.

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