日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
走査型電子顕微鏡によるコレステロール胆石の溶解に関する研究
長 益悦
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1979 年 76 巻 10 号 p. 1979-1992

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抄録

コレステロール(コ)含有量80%以上の胆石の溶解現象を走査電顕(SEM)で検討した.胆石はビーグル犬(犬)胆汁中でincubateした対照群(3例)とCDCA投与群(11例)の2群に分けた.胆石の重量はincubation後に16.5~39.4%減少した.SEM所見を比較したところ,incubation後の最も著明な変化は微小結晶の減少であつた.板状結晶の切子面は波打ち,辺縁は不整になり,角は丸味を帯びた.さらにincubation前は薄い板状結晶が密に重積しているが,incubation後はこの結晶に間隙が生じた.これらの変化は表面 とcoreの両方にみられ,犬胆汁によるコ結晶の溶解によると考えられた.CDCA投与群胆石においても対照群と同様のSEM所見を示し,これはコ胆石のCDCAによる溶解過程を示唆している.

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