1979 年 76 巻 11 号 p. 2200-2213
ラッテを低蛋白食(LP),標準食(ST),および高蛋白高脂肪食(HPF)で飼育し,各々が胆汁成分,実験的胆管拡張,および胆石生成におよぼす影響を検討した.その結果,胆汁成分のうちリン脂質濃度はLP群で有意に高く,本食餌群にコレステロール溶存能の上昇が認められた.又,総胆管壁に電気焼灼を加えると,LP群では80%と他群より有意に高い胆管拡張が発生し,本食餌群では胆汁うつ滞をきたし易い素地のあることが窺われた.更に低蛋白食と胆管狭窄により胆石の産生を認め,有石例では,いずれも著明な胆管炎を示した.以上より,胆管結石の成因には胆汁うつ滞と胆道感染が重要であるが,これらの誘因として低蛋白食の影響が少くないと考えられた.