日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胃粘液癌と大腸粘液癌との比較研究
第1編 臨床病理学的研究
佐々 英達喜納 勇
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1979 年 76 巻 3 号 p. 659-667

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抄録

胃粘液癌切除症例115例,大腸粘液癌切除症例41例を対象とした臨床病理学的検索の結果以下の結論を得た.
1) 胃粘液癌の出現頻度は全胃癌の4.9%であり,男女比•年齢分布とも全胃癌と同様であつた.大腸粘液癌の出現頻度は全大腸癌の7.9%であり,全大腸癌に比し女性症例の比率が高く,平均年齢は全大腸癌のそれに比し著しく低年齢であつた.2)組織学的構造異型度によつて分類し比較すると,胃粘液癌•大腸粘液癌とも低分化群ほど平均年齢が低く,殊に大腸粘液癌低分化群では33.2歳と著しく低年齢であつた.3)胃粘液癌の予後はリンパ節転移の有無,深達度および構造異型度の強弱に影響されることが確認された.大腸においては結腸粘液癌の予後は直腸粘液癌の予後に比し著しく良好であつた.

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