日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
イヌ実験胃癌の電子顕微鏡的研究
正常胃粘膜と隆起性病変の対比
竹下 公矢
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1979 年 76 巻 5 号 p. 1080-1095

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抄録

N-ethyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine(ENNG)をビーグル犬に経口投与し発生した胃癌について,非投与犬の正常胃粘膜との関連性を,主として電子顕微鏡学的に比較検討した.イヌ正常胃粘膜の超微構造はヒトのそれとほぼ同一であり,投与犬の非癌性粘膜とも良く類似していた.腺窩上皮の過形成と種々の程度の異型腺管群が主体を占め,その一部に高分化型腺癌巣を認めた隆起性病変では,電顕的に過形成性腺窩上皮は正常粘膜上皮に類似し,異型腺管は高分化型腺癌と過形成性腺窩上皮の中間の形態を示した.また中ないし低分化型腺癌が混在する病巣では,電顕的に前者は高分化型腺癌に類似し,後者は固有の所見を示し,かつ正常胃小窩下部(底部)から腺頚部の粘液細胞に類似していた.

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