1979 年 76 巻 6 号 p. 1253-1258
腸上皮化生と胃癌との関係究明を目的として,ラットにN-プロピル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(PNNG)を濃度100μg/mlの水溶液として44週投与,経時的に屠殺した,腸上皮化生は19週に初めて出現し,28週までに57%のラット腺胃にみられた.腸上皮化生の出現頻度は時間の経過と共に上昇し88週では100%のラットにみられた.胃癌は69週に初めて腺胃にみられ,腸上皮化生は胃癌に先行して出現した.電子顕微鏡による観察で,化生腺管には不規則に発達したmicrovilliと粘液穎粒を持つた杯細胞を認めた.オートラジォグラフィーによつて標識された核は腺管の下部1/2の細胞にある事がわかつた.