日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
糖蛋白代謝と胃潰瘍
とくにα-L-フコシダーゼの消長と胃潰瘍
伊藤 喜和
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1979 年 76 巻 9 号 p. 1757-1767

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抄録

胃潰瘍形成時における胃α-L-フコシダーゼ活性および胃粘膜糖蛋白について検討した.実験潰瘍はウイスター系雄性ラットにヒスタミン,およびビタミンAを投与し作製した.ヒスタミン投与後早期よりα-L-フコシダーゼ活性は上昇した.ビタミンA投与時には胃壁蛋白結合型フコースの減少と胃液遊離フコースの増加がみられた.またビタミンA大量投与時の胃粘膜のDEAE-カラムクロマト法を行ない糖蛋白分析を行なうと3つの画分に分かれ,第一画分においてフコースの著しい減少がみられた.以上から,α-L-フコシダーゼは胃潰瘍形成時に胃粘膜糖蛋白代謝を司さどり,潰瘍形成に重要な働きをなす攻撃因子の1つと考えられた.

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