日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
近位大腸に於る内在神経支配とセロトニン放出に関する研究
炭山 嘉伸
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1980 年 77 巻 1 号 p. 18-25

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抄録

本研究は,ネコの近位大腸を用いて,壁内神経分布と,セロトニン動態につき,コントロール群と,迷走神経切断群を,比較検討した.正常群では,Myenteric plexus及び,筋走内,粘膜内に交感神経であるadrenergic-Fiber, Nor-adrenalin (N. A)蛍光がみられ,副交感神経では,Ach-Esterase活性を観察し,その活性分布を明らかにした.Myenteric plexus内では,ganglion細胞が確認しえた.迷切群は,正常群に比し,adrenergic Intensityが強く,ACh Esterase活性は低下し,外来神経である迷走神経の切断が,壁内神経叢の分布に影響を与える事を確認した.Serotoninは,粘膜基底部に数多くみられ,迷切により,その数と,蛍光度の増加を確認しえたので,セロトニン遊離に,迷走神経が介在する事を証明した.

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© 財団法人 日本消化器病学会
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