日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
腎移植後にみられる肝障害の臨床病理学的検討
肝障害遷延例を中心として
小畑 尚宏渡辺 明治林 正作東 俊宏遠藤 浩長島 秀夫堀見 忠司渕本 定儀阪上 賢一折田 薫三
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キーワード: 腎移植, 肝障害, 免疫抑制剤
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1980 年 77 巻 1 号 p. 32-42

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抄録

腎移植29症例のうち18例(62%)に肝障害が発症した.Azathioprine (AZP)漸減中の移植3ヵ月頃以後,すなわち免疫抑制状態から免疫応答の回復がみられる時期に,血清Alkaline phosphatase (Al-Pase)の増加を特徴とする肝障害遷延例8例がみられ,そのうち感染症などの合併症のため6例が死亡した.遷延症例でHBs抗原陽性は1例のみで,肝障害の発症に関連したと思われるサイトメガロ,単純ヘルペスや帯状ヘルペスウィルスなどの血清抗体価の上昇をみた症例はなかつた.遷延例5例のうち,chronic persistent hepatitisと急性肝炎類似の肝組織変化を示した2例を含めて,炎症細胞の浸潤は著明でなく,小葉中心性の肝細胞壊死,門脈域周辺の脂肪沈着,さらに胆管上皮の変性,細胆管の増生や胆栓と鉄の沈着など多彩な病変が観察された.腎移植後の肝障害には多面的な配慮が必要であることを強調した.

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