日本消化器病学会雑誌
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胃疾患とCyclic Nucleotides
第1報 胃粘膜・筋層におけるcyclic AMP, cyclic GMPの微量定量について
高倉 淳
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1980 年 77 巻 10 号 p. 1539-1546

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抄録

胃における細胞生理,機能に果すcyclic nucleotidesの役割に注目し,Lowryの微量酵素定量法を応用して,正常ラット胃の前胃,胃体部,幽門部の粘膜層および筋層内cAMP, cGMPレベルを検討した.すなわち,実体顕微鏡下で各部位の粘膜および筋層より0.5mgの試料を採取,succinyl化後,radioimmunoassayにてcAMP, cGMPの定量を行つた.本法における回収率はcAMP 88.9±1.2%,cGMP 88.6±0.8%であつた.その結果,1) 粘膜層では幽門部cAMP, cGMPは各々4.80±0.41pmol/mg d.w,0.27±0.02pmol/mgd. w.で前胃,胃体部に比較し有意の高値であつた(p<0.01),2) 壁細胞の分布する胃体部粘膜層cAMPは3.15±0.27で他部位に比較し低値であつた.3) 前胃筋層のcAMPは5.63±0.41で胃体部に比較し有意に高く(p<0.01),cGMPは0.21±0.01で有意に低値であつた(p<0.05).

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