1980 年 77 巻 11 号 p. 1770-1776
11例の慢性膵炎患者の十二指腸液中抱合胆汁酸及び,9例の膵炎患者の糞便中胆汁酸,水酸化脂肪酸を含む脂肪酸をガスクロマトで分別定量した.結果:十二指腸液中glyco-CDCAのみが対照に比し有意に低下し,P-Sテスト中max. Bicarb. conc.とglyco CDCA%が有意の相関を示した.膵炎例と健常者のG/T比はそれぞれ2,91±0.4,1.91±0.7であつた.膵炎例の胆汁酸排泄量が有意に増加し,うちCDCA排泄量が有意に増加していた.脂肪酸排泄量は,膵炎例で有意の増加を示したが,%OHFAについては両者間に有意の差を認めなかつた.
以上の結果から,慢性膵炎患者には軽度の胆汁酸吸収不良があると考えられた.しかし,%OHFAが増加していないのでbacterial overgrowthの存在はないものと考えられた.