日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
慢性膵炎患者における胆汁酸吸収不良および糞便中水酸化脂肪酸について
中村 光男今村 憲市阿部 泰久宮沢 正武部 和夫菊池 弘明
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1980 年 77 巻 11 号 p. 1770-1776

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抄録

11例の慢性膵炎患者の十二指腸液中抱合胆汁酸及び,9例の膵炎患者の糞便中胆汁酸,水酸化脂肪酸を含む脂肪酸をガスクロマトで分別定量した.結果:十二指腸液中glyco-CDCAのみが対照に比し有意に低下し,P-Sテスト中max. Bicarb. conc.とglyco CDCA%が有意の相関を示した.膵炎例と健常者のG/T比はそれぞれ2,91±0.4,1.91±0.7であつた.膵炎例の胆汁酸排泄量が有意に増加し,うちCDCA排泄量が有意に増加していた.脂肪酸排泄量は,膵炎例で有意の増加を示したが,%OHFAについては両者間に有意の差を認めなかつた.
以上の結果から,慢性膵炎患者には軽度の胆汁酸吸収不良があると考えられた.しかし,%OHFAが増加していないのでbacterial overgrowthの存在はないものと考えられた.

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