1980 年 77 巻 11 号 p. 1788-1793
膵疾患診断に対するCT検査法は通常の横断断層像のみでは診断的価値が未だ低い.著者らはこれに画像再構成による矢状断層像および前額断層像を加えてその臨床的評価を試みた.使用機器はSomatom S. D.および画橡解析装置Evaluskop (Siemens社製)である.撮影は4mm幅スライスで,被写体移動間隙は3mm撮影時間は4.5秒である.未だ画質が良好とは言えない面もあるが,本法による膵の多方向からの観察は膵の立体的把握を一層容易にし,他臓器との位置関係をも明瞭にして画像診断能の向上に役立ち,また矢状断層像は膵体積測定にも有用と考えられた.