日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
内視鏡的逆行性膵実質造影法による慢性膵炎および膵癌の診断
吉本 信次郎大西 隆二別府 真琴土居 幸子松尾 導昌赤坂 裕三川井 啓市
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1980 年 77 巻 2 号 p. 239-245

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抄録

内視鏡的逆行性膵実質造影法を152例に施行し,良好な膵実質造影像の得られた70症例を対象に,本法による慢性膵炎および膵癌の診断の可能性を追求した.高度慢性膵炎例では,本法で膵実質像の部分的あるいは全体的な欠損が見られ,中等度慢性膵炎では,膵の輪廓の不整や不均一な実質像が見られた.
膵の面積を膵管の最大径で除しS/D比を求めると慢性膵炎群では正常群に比し有意に低値となつた.膵癌は本法では膵野の陰影欠損像として捉えられ,癌の十二指腸側への広がりの診断や,主膵管に影響を与えない膵の辺縁に存在する癌の診断に本法は有用であつた.
本法を施行した152例で特別な偶発症の発生は見られなかつた.

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