1980 年 77 巻 3 号 p. 355-360
正常と思われる新生児腸音を他覚的に評価する試みとして磁気テープに腸音を収録し,それについて周波数スペクトルおよび腸音持続時間の頻度分布を検討した.
腸音の収録にはS/N比の改善をはかるため二重円筒吸着型のピックアップを使用した.
サウンドスペクトログラフ(SSG)および高速フーリエ変換(FFT)を利用して調べた周波数分析によると,新生児の腸音は殆どが1,500Hg以下の低周波音であり,SSG上の縞模様の濃淡はFFTによる周波数スペクトルとよく一致した.単位時間を1msecとすると持続時間の頻度分布はほぼポアソン分布をし,その分散は小さい.