日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
慢性活動性肝疾患患者血清処理培養肝細胞に対する健常者末梢血リンパ球の細胞障害性
野々村 昭孝原武 譲二狩野 哲次太田 五六
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1980 年 77 巻 3 号 p. 377-385

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抄録

2種類の培養ラット肝細胞(Coon細胞,RLC 1005)とラットfibroblastを慢性活動性肝疾患患者血清で処理した後に,健常者リンパ球を加えて細胞障害性を検討したところ,以下の結果を得た.1) 培養肝細胞を患者血清で処理すると,健常者血清処理に比較して有意に高い細胞障害がみられるが,fibroblastが標的細胞の場合にはこのような現象はみられなかつた.2) この反応は,患者血清中に存在する標的肝細胞表面膜結合性Igの存在と関連し,またeffectorリンパ球をaggregated IgGで処理することにより有意に阻止された.3) この細胞障害性と血中の抗平滑筋抗体価との間に直接の関連はみられなかつた.4) 慢性活動性肝炎では血清γ-グロブリンが高値の症例で細胞障害性が高かつた.

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