日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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閉塞性黄疸におけるグルカゴン試験
小林 衛佐藤 一美嶋田 紘新明 紘一郎鬼頭 文彦土屋 周二
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1980 年 77 巻 3 号 p. 410-414

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抄録

閉塞性黄疸12例(対照11例)にグルカゴン試験をおこなつた.黄疸例,対照例の空腹時血糖値は103.8mg/dl,94.1mg/dl,またグルカゴン刺激後の血糖上昇は48.2mg/dl,42.4mg/dlで,黄疸例がやや高かつたが有意差はなかつた.しかし対照例が60分で前値に戻つたのに対し,黄疸例は前値に戻らず,glycogenolysis亢進が認められた.インシュリンは,対照例でグルカゴン刺激2分後73.7μU/mlに急上昇した後下降した.黄疸例もやや低いながら44.6μU/mlに急上昇した.前にわれわれが報告した閉塞性黄疸における経静脈的ブドウ糖刺激時のインシュリン初期反応欠如の成績と対比して,グルカゴンとブドウ糖とでは膵β細胞に対する刺激作用機序が異なつていると推定した.

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