日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
軽症膵障害の早期診断法に関する臨床的研究
amylase isoenzymeと電顕所見
藤岡 利生
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1980 年 77 巻 3 号 p. 423-432

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抄録

臨床的に診断した慢性膵炎疑診群101例について,ps試験,その前後の血清amylase isoenzymeおよびERPの成績を比較検討し,さらに12例の生検でえた膵組織の光顕,電顕所見についても検討した.正常コントロール群25例のisoenzyme-pの平均値は,ps試験前も後も97 I. u./lと不変であつた.ERP軽度変化群47例ではps試験前127 I. u./l,後201 I. u./lで刺激により上昇したが,膵外分泌機能では明らかな異常を示さなかつた.このような膵外分泌機能障害の軽い症例(軽症膵障害)でも,電顕所見では基低膜の崩壊,zymogen顆粒の逸脱,粗面小胞体の拡張,ミトコンドリアの膨化,そして膵炎の促進因子と思えるフィラメント様物質の存在を認めた.

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