日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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膵液および膵石の酸性ムコ多糖に関する臨床的研究
膵石形成機序における酸性ムコ多糖の役割
泉 良平
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1980 年 77 巻 3 号 p. 433-444

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抄録

膵石形成機序を解明する目的で,ヒト膵液・膵石中の酸性ムコ多糖を生化学的に検索し,さらに膵管上皮のムコ多糖について組織化学的に研究した.膵石・膵液中酸性ムコ多糖は,酸性糠蛋白・ヒアルロン酸・ヘパラン硫酸・コンドロイチン硫酸Aの4成分から構成される.慢性反復性膵炎の膵液中酸性ムコ多糖はヘパラン硫酸が主成分で,膵石中酸性ムコ多糖と類似していたが,高度線維化慢性膵炎の膵液中酸性ムコ多糖はヒアルロン酸・酸性糖蛋白が主成分であつた.また膵液中酸性ムコ多糖の組成の変化は,膵管上皮の変化と良く相関していた.従つて,膵石形成には膵液中酸性ムコ多糖が関与し,慢性反復性膵炎が膵石症に至る主病態であると推察する.

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