日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
急性上部消化管病変大量出血の治療
制酸剤頻回投与およびcimetidine療法について
房本 英之中川 彰史斉藤 光則川野 淳鎌田 武信阿部 裕
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1980 年 77 巻 4 号 p. 553-562

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抄録

急性上部消化管病変大量出血例30例における制酸剤頻回投与(水酸化アルミゲル,2g×12~24/日)およびcimetidine療法(300mg×4/日)の止血成績を検討した.対照群(制酸剤,抗コリン剤あるいは胃粘膜保護剤,1日3~4回投与)では36例中10例(27.8%)が止血されたのみであつたが,制酸剤頻回投与群では19例中14例(73.7%),cimetidine群では11例中8例(72.7%)が止血され,ともに優れた止血方法であつた.しかし,潰瘍底に露出血管を有する症例は1例も止血できなかつた.水酸化アルミゲル大量投与により軽度の血清燐の低下,血中アルミニウムの増加,尿中カルシウムの排泄増加がみられたが,cimetidineの副作用は全くみられなかつた.

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