日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胆汁うっ滞における赤血球浸透圧抵抗増強のメヵニズムと臨床的意義
吉田 洋小木曽 和夫寺倉 俊勝藤岡 均青木 泰然岡田 俊道安藤 喬武藤 泰敏高橋 善弥太
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1980 年 77 巻 4 号 p. 591-602

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抄録

胆汁うつ滞症における赤血球浸透圧抵抗増強の機序を研究し,その臨床的意義について考察した.Lp-X濃度が高い程,赤血球膜コレステロール,リン脂質の増加が著明で,赤血球浸透圧抵抗も増強するが,PTCドレナージ等で急速に閉塞を解除すると,赤血球浸透圧抵抗は正常に向い,膜コレステロール,リン脂質は等モルで減少した.増加したリン脂質は殆んどレシチンであり,そのアシル基脂酸構成はLp-Xに類似していた.胆汁うつ滞時の赤血球浸透圧抵抗の増強はLCAT活性の変動以外にLp-Xが赤血球膜とfusionする為と考えられ,胆汁うつ滞症の赤血球浸透圧抵抗を測定することは閉塞の程度,減黄効果の判定に有力な手段であると考えられた.

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