日本消化器病学会雑誌
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潰瘍性大腸炎における大腸粘膜リゾチーム局在の酵素抗体法的研究
北洞 哲治
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1980 年 77 巻 6 号 p. 898-907

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抄録

腸管におけるリゾチームの意義を解明する目的にて潰瘍性大腸炎の大腸粘膜局所リゾチームの検索をした.方法としてエタノール固定による酵素抗体法を用いることにより,リゾチームの抗原性も保持され,病理組織学的対比可能な面よりすぐれた結果を得ることが出来た.
潰瘍性大腸炎活動期では正常大腸粘膜にみられない大腸陰窩リゾチーム含有細胞の出現が認められ,血清リゾチーム活性も有意の上昇を示した.潰瘍性大腸炎血清リゾチーム活性上昇機序として白血球代謝亢進と大腸陰窩リゾチーム含有細胞出現が関与しているものと考えられた.病理組織学的変化ではgoblet cell depletionが重要と考えられ,陰窩細胞の機能的変化によるリゾチーム含有細胞の出現が示唆された.

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