1980 年 77 巻 6 号 p. 908-915
Porphyria cutanea tarda 7例の肝病変について検討した.症例は33~77歳の男性で,全例にアルコール歴があつた.肝機能検査では6例に軽度の血清トランスアミナーゼ値の上昇を,5例にICG(またはBSP)の軽度~中等度の停滞を認めた.組織学的検索では肝細胞壊死(6例),門脈域の炎症細胞浸潤(6例),限界板の破壊(6例),脂肪変性(2例),線維化(5例)が種々の程度に認められ,肝硬変は1例に認められた.また,肝細胞内への鉄およびリポフスチンの沈着が全例に認められた.とくに注目すべき所見は肝細胞内の針状封入体で,これは程度に差はあるが全例に認められた.著者らはこの針状封入体を本疾患に特異的なもので,診断的価値が高いものと考える.