日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
慢性膵炎の組織像と臨床像との対比
とくに組織計測学的立場から
小関 栴能登 陞松野 正紀狩野 研次郎
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1980 年 77 巻 6 号 p. 954-962

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抄録

慢性膵炎の手術標本59例の形態学的変化を組織計測的に検索し,成因,膵内外分泌機能などの臨床所見との関連性を検討した.膵実質の残存率は,胆道原性膵炎では平均79%であり,他の成因によるものに比べて明らかに高かつた.また,実質残存率はPS-テストにおけるmax HCO3-濃度,HCO3-総排出量およびアミラーゼ排出量と極めて高い相関を示した.ラ島に関しては,慢性膵炎例は対照群に比べて,その数および膵におけるラ島全体の容積比は減少しており,また膵線維化が高度になるほど両者は減じていた.しかし,ラ島容積の減少は必ずしも耐糖能障害の程度とは並行せず,ラ島の質的変化が示唆された.

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