1980 年 77 巻 9 号 p. 1413-1423
犬の正常膵を対象として,まず水素ガスクリアランス式組織血流計により膵の基礎血流量を測定し,次いで交叉熱電対式組織血流計を用いてその測定法について吟味した後,VIPの膵血流及び膵機能に及ぼす影響を観察した.膵の基礎血流量には部位別による差はなく,また交叉熱電対法は再現性と信頼性のある測定法であることが実証された.合成chicken VIPは合成porcine VIPに比較し,ほぼ同じ膵血流増加作用を有したが,血圧降下作用は後者より弱かつた.VIPにより膵液分泌増加,血中インスリン値及び血糖値上昇を認めたが,VIPにより刺激された膵内分泌及び外分泌反応は,VIPにより惹起された膵血流増加反応と密接な関連を持つことが示唆された.