日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
慢性肝疾患における補体系の異常
とくに補体解離現象を中心に
菱谷 好高茂在 敏司加納 正
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1981 年 78 巻 1 号 p. 31-38

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抄録

慢性肝疾患118例において補体系の異常を検討した.慢性肝疾患にみられる補体の低下は,(1) 補体の産生低下による場合(例えぼ肝硬変症での血清CH50, C3, C4の減少)と,(2) 補体の異化充進(immune complexによる活性化,消費)による場合とがあつた.また慢性肝疾患に特徴的にみられる血清と血漿の補体解離現象は後者の機序,すなわちcryoglobulinによる補体の活性化,消費によることを明らかにした.実際,補体解離現象を示した12例中11例にimmune complexと考えられるIgM+IgG型mixed cryoglobulinが証明された.また正常人血清に解離現象陽性例のcryoglobulinを添加したところCH50は激減したが,解離現象陰性例のcryoglobulin添加によつてはCH 50の減少をきたさなかつた.

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