日本消化器病学会雑誌
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ラット胃粘膜Prostaglandin E2に関する研究
(第5報)CCl4肝障害による影響
中村 肇小林 絢三荒川 哲男畑山 充鎌田 悌輔小野 時雄
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1981 年 78 巻 10 号 p. 1915-1919

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抄録

慢性肝障害における胃粘膜病変発生と,胃粘膜に含まれる内因性prostaglandin E2(PGE2)との関係を追求する目的で,ラットにCCl4肝障害を作成し,1) その胃粘膜PGE2量を測定した.2) さらに0.2NHCl負荷胃粘膜傷害を作成し潰瘍係数を測定した.結果:1) CCl410週投与群では,胃体部粘膜PGE2量は,0.66±0.07(μg/g±S. E.),幽門部粘膜PGE2量は,1.58±0.90, CCl4 25週投与群ではそれぞれ0.84±0.18,1.73±0.13であり,対照群(胃体部1.09±0.08,幽門部2.43±0.13)に比し低値を示した.2) CCl425週投与群のラット胃に,0.2N Hclを負荷すると,潰瘍係数12.8±2.0と,対照(2.2±0.7)に比し病変が増悪した.以上より,胃粘膜PGE2の欠乏が,慢性肝障害時の胃粘膜病変発生の一要因であると考えられた.

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