1981 年 78 巻 10 号 p. 1962-1968
Griseofulvin (GF)投与によるマロリー体(MB)の形態学的特徴を明らかにする目的にて,GF 2.5%を含む飼料で4~8ヵ月間マウスを飼育した.各時期において肝のIII葉の約50%を部分切除し,光顕および電顕にて観察した.光顕像では,MBを有する肝細胞は腫大し,細胞質内に1~数個のMBが集合して認められた.投与期間が長くなる程MBは増加した.6週間GF投与を中止してもMBは少数ながら存在し,再投与によりMBは速やかに増加した.電顕像では,MBは限界膜を有せず,直径約150Aの細線維の集合体として存在した.MBのtypeは2型,3型のみがみられ,GFによりIntermediate filamentの異常が惹起されたために,MBが発生したと考えられた.