日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
短潜伏期性非A•非B型急性肝炎の臨床病理学的検討
高田 昭中谷 泰康高瀬 修二郎根井 仁一松田 芳郎金山 隆一小西 二三男
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1981 年 78 巻 10 号 p. 1969-1975

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抄録

手術•輸血後の非A•非B型肝炎の51例は,その潜伏期より4週以前発症の短潜伏期性と5週以降発症の長潜伏期性に大別できた.集団発生例の大部分と非輸血例のすべては短潜伏期性で,非集団•輸血例の大部分は長潜伏期性であつた.短潜伏期性肝炎は病初期の病変は比較的重篤であるが,その長期の予後は長潜伏期性に比して良好であり,経過が遷延しても治癒するものが多く,その遷延•慢性化率は低率であつた.肝における病変は長潜伏期性では小葉中心部で,短潜伏期性では小葉周辺部で強かつた.このように,A型肝炎類似の病態を示す短潜伏期性は,B型肝炎類似の病態を示す長潜伏期性とは異なるウイルスの感染によつていると推定された.

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