日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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慢性肝疾患におけるICGRmaxとHepaplastimtestの解離例の検討
中谷 泰康
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1981 年 78 巻 12 号 p. 2337-2341

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抄録

慢性肝疾患177例を対象として,ICG最大除去率(Rmax)とhepaplastintest(Hp-T)との解離例について検討した.両者の解離例の大部分はHp-Tが正常で,ICGRmaxが異常を示す形の解離であった.高度の解離を示す例の病態の特徴は肝細胞総数の減少に比して,個々の肝細胞の蛋白合成に対する代償能力がよく保たれていることであり,したがってある程度進行したアルコール性肝線維症,禁酒後のアルコール性肝硬変,前硬変期にある非活動性の慢性肝炎,休止期の肝硬変および孤立性の肝癌で解離例が多かった.このように,肝細胞機能総:量を反映する検査でも,検査法によってその反映する病態はやや異なっており,異なった検査を組合わせることによって肝疾患の病態の把握はより正確になると考えられた.

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