日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
N-Butyl-N-Nitrosourethanによるラット実験食道癌の経時的観察
宮崎 誠司河原 清博平田 牧三飯田 洋三沖田 極岡崎 幸紀竹本 忠良青山 栄
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1981 年 78 巻 2 号 p. 157-165

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抄録

29頭ドンリュウ系雄ラットに400ppmのN-butyl-N-nitrosourethan(BNUR)を連日経口投与して実験食道癌を作製し,10週以上生存しえた23頭を有効例として,4週に1回X線検査および内視鏡検査を施行した.
食道の乳頭腫の発生頻度は,96%(22/23)で,扁平上皮癌は70%(16/23)であつた.ラット実験食道癌は強制発癌であるので病変が多発し,X線像,内視鏡像ともに小腫瘤状隆起の多発型としてあらわされることが多く,深達度はmないしsmであつた.一方,深達度mpないしaの進行した扁平上皮癌を有する5例のX線像および内視鏡像は,ヒト食道癌のものと類似していた.内視鏡観察により乳頭腫,扁平上皮癌の内視鏡像がえられ,内視鏡検査はX線検査とともにラット実験食道癌の経時的観察に有効な手段と考えている.

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