日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝内結石症肝の病理形態像
中沼 安二太田 五六永川 宅和松原 藤継
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1981 年 78 巻 4 号 p. 874-882

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抄録

肝内結石症の結石を有する胆管系の変化を,増殖性,化膿性および肉芽腫性胆管炎の3型に分類した.これら3型の中で,増殖性胆管炎は,最も高率にみられ,また最も基本的な病変と考えられた.そして,過形成性の胆管上皮,および種々の程度に増生する胆管周囲腺より分泌される粘液が,結石形成の増大因子として重要と考えられた.結石部より遠隔部の変化として,線維化,胆管周囲層状線維化,門脈枝の狭小化•硬化,および肝葉•肝小葉の萎縮がみられ,これら遠隔部の変化は,結石形成に続発して出現するものと考えられた.また,先天性肝線維症,乳児嚢胞性疾患あるいはそれとオーバーラップしているカロリ病にみられる肝•腎病変は,今回検索した肝内結合症ではみられず,したがつて,肝内胆管の先天的異常が肝内結石の発生に果す役割は,乏しいと考えられた.

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