1981 年 78 巻 6 号 p. 1191-1197
交感神経末端の刺激伝達物質である微量のカテコールアミンを高速液体クロマトグラフィーを用い測定し得る方法を考案し,ガストリンによるラット胃酸分泌刺激時の胃液および胃組織内カテコールアミンの変動を測定した.テトラガストリンによる酸分泌刺激によりShayの方法により採取した胃液中へのノルアドレナリン分泌量および胃体部胃壁全層内のノルアドレナリン濃度は,基礎分泌時に比しそれぞれ42%,29%減少した(p<0.05).しかし,胃液アドレナリン分泌量には変動は認められなかつた.ノルアドレナリンは交感神経末端の主たる刺激伝達物質と考えられており,テトラガストリンによる酸分泌刺激時にはテトラガストリンが胃の交感神経系に何らかの影響をおよぼしていることが示唆された.