肝硬変の血小板減少の機序を明らかにしようと試みた.肝硬変の血小板減少の原因は骨髄における血小板生成障害と血小板寿命の短縮によることが明らかにされた.血小板寿命の短縮は血小板膜のシアロ糖蛋白の減少の結果,血小板が網内系で貧食され易くなることに帰因する.
肝硬変の血小板ではシアル酸の減少の他,ADPおよびリストセチンによる凝集能も低下し,さらに血小板膜蛋白,125 I結合膜表面蛋白および膜糖蛋白の異常も認められる.これらの諸点で肝硬変の血小板異常は同じく血小板減少を来すBernard-Soulier症候群のそれに良く類似していることが判明した.