1981 年 78 巻 7 号 p. 1431-1436
肝細胞癌および転移性肝癌の診断における血清5'-NPD-V検査の有用性を検討した.黄疸例では5'-NPD-Vが非特異的に出現するために血清bilirubinが2.5mg/dl以上の症例は検討から除外した.健康人18例では全例陰性であつた.肝細胞癌では13例中12例が陽性であり,転移性肝癌では36例中27例75%が陽性を示し,肝転移が認められなかつた悪性腫瘍では34例中5例15%が陽性であつた.α-Fetoprotein正常の肝細胞癌4例全例で5'-NPD-Vが陽性を示したこと,転移性肝癌に対するCEAの陽性率よりも5'-NPD-Vのそれの方が高いことから今までの腫瘍markerと5'-NPD-Vを組合せれば肝細胞癌および転移性肝癌の診断に有力な手段となるであろう.