日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胃全摘術後の消化吸収障害に関する一考察
とくに膵酵素の面から
松本 恒司正宗 研布出 泰紀正木 啓子築山 順一竹田 喜信大柴 三郎岡田 勝彦桜本 邦男岡島 邦雄
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1982 年 79 巻 1 号 p. 28-37

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抄録

胃全摘後の消化吸収障害を,主に消化に関与する膵酵素の面から検討した.対象は,Double tract法16例,Roux-en Y法5例である.これらに対し(I)BT-PABA単独投与法,(II)試験食併用BT-PABA試験を行い,1時間毎6時間,分割採尿し経時的な動態をみた.(I)法では,健常者に比し胃全摘例で総PABA排泄率に差異は認められなかつたが,(II)法では有意に尿中PABA排泄率は低下し,しかもRoux-en Y法は,Double tract法と比べ有意に低値を示した.さらに,1日糞便脂肪および窒素量を測定しBT-PABA試験の成績と比較した.胃全摘とくにRoux-en Y法では,脂肪量と(II)法の成績共に異常を示す症例が多くみられたことから,十二指腸を食物が通過する術式の意義を明らかにした.

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