日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
早期胆嚢癌
臨床および病理学的検討
伊関 丈治牛山 孝樹別府 倫兄平石 守和田 達雄錦野 光浩甲田 安二郎登 政和
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キーワード: 胆嚢癌, 早期胆嚢癌
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1982 年 79 巻 11 号 p. 2112-2120

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抄録

深達度が筋層までの早期胆嚢癌12例を臨床・病理学的に検討し,さらに漿膜下層にわずかに浸潤した早期癌類似進行癌8例を比較検討した.早期胆嚢癌の肉眼的形態を表面平坦型(IIb),表面隆起型(IIa),隆起型(I)に分類した.IIb型の2例は術後の組織学的検索により,IIa型の2例は術中の標本肉眼観察により発見された.I型の8例中4例は超音波検査や胆道造影により隆起を描出できた.深達度は粘膜層7例,筋層5例で,リンパ節転移は検索できた6例すべてが陰性であつた.胆管癌を合併した2例を除き遠隔成績は良好であつた.一方早期癌類似進行癌8例中3例にリンパ節転移が陽性で,3例が2年以内に再発死亡した.早期癌か進行癌かの術中判定は困難であるため,早期癌といえども原則として拡大胆嚢摘出術,リンパ節郭清を施行すべきと考えられた.

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