アルコール性肝障害患者30例の禁酒後の肝分泌性蛋白の変動を経時的に検討した. Prealbuminは禁酒直後では非アルコール性肝疾患に較べ,ICG最大除去能の軽度障害群で高値を示し,禁酒後には下降するものが多くみられた.一方transferrinは非アルコール性慢性肝疾患に比して低値を示し,禁酒後は上昇例が多かつた.AFPは禁酒直後に高値を示すものはなく,禁酒後にも明らかな上昇を示す例はほとんどなかつた.以上のごとく血清蛋白の種類によつて禁酒後の態度は異なり, prealbuminの変化も飲酒に関連する変化と考えられたが,肝微小管の障害による肝よりの分泌の抑制は transferrinに最も反映されていると考えられ,AFPの変化も分泌抑制の解除による可能性が考えられた.