日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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植物成長ホルモン(IAA)の動物細胞における作用及びその臨床的応用に関する研究
下條 ゑみ八巻 敏雄
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1982 年 79 巻 12 号 p. 2314-2322

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抄録

代表的植物ホルモンであるIAAの動物細胞増殖における意義ならびにその臨床的意義につき検討した.
L-P3細胞および3T3細胞を用いた培養実験ではこれらの細胞がIAAを産生すること,そのIAA濃度は単位細胞当りでは2日目に高値を示し,以後漸減するがそれ以後培養中の濃度は10-7Mとほぼ一定であり,この濃度のもとに増殖が進行し,それを超えると抑制的に作用する結果が得られた.
正常人,消化器癌疾患患者および非癌例における血清および尿中のIAA量をみると,早期癌例では一般に高値を示し,末期癌では低値を示すことが多い.肝癌例では原発性肝癌が低値を示すのに対し転移性肝癌例では高値を示した(p<0.02).また癌組織およびその辺縁では遠隔非癌部位に比し高値がみられ,IAAと細胞増殖との関連を示唆する所見が得られた.⟨⟨⟨⟨

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