1982 年 79 巻 2 号 p. 231-240
肝疾患におけるB cell機能を知る目的で,末梢血リンパ球の免疫グロブリン(Ig)産生細胞をprotein A法により検討した.本法では,PWM等のmitogenの刺激なしにspontaneous Ig産生細胞の検出が可能であつた.急性肝炎では,急性期にIgGおよびIgM産生細胞数は一過性に増加し,回復期に正常化した.慢性肝炎では,組織学的に活動性の症例は非活動性に比してIg産生細胞数が優位であつた.特に,自己抗体陽性の非B型慢性活動性肝炎ではIgG・IgA産生細胞の著明な増加がみられた.これに対して,B型慢性肝炎では,Ig産生細胞は低値を示した.肝疾患において,Ig産生細胞の検討はB cellpopulationの算定とは異なりB cellの機能的指標として有意であつた.